音作りの幅★☆☆☆☆
コストパフォーマンス★★☆☆☆
オススメ度★★☆☆☆
ライブやら風邪やらで長らく更新が止まってましたが、落ち着きましたので更新スタートです。
今回は日本のMontreuxから、シンプルなワンノブブースターのKiller Boostをご紹介します。
このKiller Boostは昨今流行りのフルレンジブースターや、エコープレックス系ブースターとは全く別の位置に存在するブースターです。
いわゆるトレブルブースターと呼ばれる類のブースターなのです。
そう、60年代70年代の往年のロックで数々のレジェンドギタリストがつかっていた”あの”トレブルブースターです。
トレブルブースターと一口に言っても様々な種類がありますが、一番の有名所はダラスのレンジマスターでしょう。
使用していたギタリストとしては、リッチー・ブラックモア、ブライアン・メイ、エリック・クラプトンなどなど錚々たる顔ぶれが並びます。
Killer Boostはそのレンジマスターの音を現代的なスペックで再現したトレブルブースターになります。
以下、詳細を見てみましょう。
まず大きな特徴として、レンジマスターはゲルマニウムトランジスタを採用していましたがKiller Boostはシリコントランジスタを採用しています。
ゲルマニウムはその独特な粘りや毛羽立ちが非常に音楽的で、エフェクターには重宝されるトランジスタではありますが、経年変化や使用状況により音が大きく変わってしまうという弱点もありました。
一方でシリコンは動作が安定しているため、現代のエフェクターではもっぱらシリコンの方が多く使われます。音についても現代のシリコントランジスタはよく調整されており、昔のシリコントランジスタにあった音の硬さやレンジの狭さといった問題はほぼ解決されているような状況にあります。ゲルマニウムと比べると音に違いはあれど、その差はあくまで好みの範囲内といった印象です。
Killer Boostはそういったゲルマニウムについて回る扱いにくさをシリコンを採用することで解決しており、どんな状況でも安定したサウンドや動作を獲得しています。
またレンジマスターは付属のアダプターで電源を取るような形でしたが、Killer Boostは一般的なセンターマイナスの9V電源で動作します。もちろん電池でも使えます。
筐体サイズも一般的なエフェクターサイズ(BOSSサイズ)に収めていますので、ペダルボードに組み込みやすいよう配慮されています。
筐体デザインはハンドペイントで、一つとして同じカラーリングのものはありません。
Landgraffなどが採用しているハンドペイントですが、あれとは違って筐体全部にカラーリングが施されているわけではありませんので、個体によって好みドンズバなものと大嫌いなものが存在するような振れ幅はありません。
あくまで炎のようなデザインの内部のカラーリングが変わるだけです。
肝心のサウンドについてですが、まさにCDで聞けるあのレンジマスターらしいサウンドが得られます。
ローが大幅にカットされ、ハイミッド~トレブルにかけての音の密度がぐぐっと高まった、いなたいサウンドです。
こうしたタイプのサウンドを今のエフェクターやアンプで得ようと思うと非常に難しく、現代だからこそこのような古臭いタイプのサウンドが作り出せるエフェクターは逆に新鮮に感じられます。
ブースト量はかなり大きく、受け入れるアンプやエフェクターには十分なヘッドルームが求められます。
ですので偉大なる先達ギタリストと同じようにオールドなVOXやMarshallに組み合わせて使うのが最も良い効果を得られます。
アンプ単体の持つゲイン量からは想像もできないようなサステインと、芳醇な倍音を堪能することができるはずです。
またオールドアンプに特有の野暮ったいローや耳に痛いトレブルも、Killer Boostを組み合わせることでいい具合にカットされて耳障りの良いサウンドに早変わりします。
一方でモダンハイゲインアンプと組み合わせて使うと入力段でかなりグシャッと音が潰れてしまいますので、せっかくの綺麗なハイゲインサウンドを台無しにする恐れがあります。
あえてそういった破綻したサウンドを狙うのでなければ、モダンハイゲインアンプと組み合わせるメリットは薄いと言えるでしょう。
シンプルなワンノブのブースターですが、ONにするだけで音を劇的に変化させる特性上、音量を上げるレベルブースター的な用途(歪みペダルの後、またはアンプのセンドリターンに置くような形)には向きません。
そういった用途にはMXRのmicro ampやXoticのRC Boosterなどが適任です。
仮にそうした使い方をした場合、ブースト量が大きいため音が割れてしまったようなバリバリとしたサウンドになってしまいますし、せっかく前段で作った音を大きく壊してしまいます。
あくまで後段のペダルやアンプをプッシュするような用途で使うことを前提にデザインされているペダルということを頭に入れておきましょう。
先述したとおり、今あえてこういった古臭いサウンドを作り出すエフェクターを導入するのは、なかなか勇気がいるというか、どう使えば良いのかわからないものです。
しかしながら一般的な他のオーバードライブやブースターとは一味違うトレブルブースターサウンドは、今だからこそ新鮮に響き、新たな感性を刺激する可能性があります。
現代的なスペックでレンジマスターサウンドを再現したこのKiller Boostが、意外や求めていたサウンドの救世主になるのかもしれませんよ。
以上、MontreuxのKiller Boostでした。
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