音作りの幅★☆☆☆☆
コストパフォーマンス★★☆☆☆
オススメ度★★☆☆☆
ディストーションの始まりのモデルこそ諸説あれ、初めに「ディストーション」という名前を使ったのはこのMXR distortion+であります。
かれこれ30年以上現役ラインナップでい続けているエフェクターながら、意外と使っている人は少ないように思います。
今回はそんな「存在と名前と音は知ってるけど使ったことがない」筆頭ともいえるエフェクターについて紹介します。
distortion+はカテゴリこそディストーションに分けられますが、音は正直な所あまりディストーションっぽくなく、どちらかというとファズっぽいニュアンスがあります。
他の定番ディストーションであるBOSS DS-1やProco RATと比べてもずっと音の粒が荒々しく毛羽立ち、巻き弦がズグズグと潰れ気味になるのが特徴です。
現代のエフェクターの感覚からすると、こんなものどう使えば良いんだという感想が出てくるタイプのエフェクターですね。
故ランディ・ローズの使用で有名なように、このエフェクターは単体で歪みを得るより、歪んだチューブアンプをブーストするような形で使うのがベストだと言えます。
しかしながらその音の荒々しさから組み合わせるアンプとの相性も考えどころになってきます。
個人的にはMarshallやVOXのようなブリティッシュアンプと組み合わせると良い効果が得られました。
逆にアメリカンなFenderやMesa/Boogieなんかだと音がドライになりすぎて抜けが悪くなる印象です。
ここらへんはMXRらしいというか、王道の組み合わせこそベストなように設計されていると感じます。
さてアンプをブーストする形で使うのが良いとは言ったものの、このエフェクターはそんなにブーストできるタイプのエフェクターじゃないんです。
レベルノブはMAXでやっとバイパス音と同じ音量という増幅量の無さ・・・。
これはかつて真空管アンプを歪ませるには大音量を鳴らさなければならなかった時代に、distortion+で入力レベルを落としながらゲインを加えることで、小音量でも大音量時の歪みを得られるように設計されたからだと考えられます。
その時代の設計のまま現代にラインナップしなくても良いんじゃないかとも思いますが、まあこれがいいというマニアもいるんです。
そんなわけでdistortion+は基本的にレベルはMAXで使うような形になるでしょう。
一方でゲイン量はというと、現代のディストーションから考えるとかなりゲインは控えめです。
DS-1やRATと比べても半分くらいしか歪まないと言ってもいいんじゃないでしょうか。
それでいてサウンドがファズ寄りなもんだから、本当に単体の歪みとして使うのは厳しいです。
前段にTS系を噛ませてようやくギリギリ使えるかどうかといったところ。
これをメインの歪みにするくらいなら素直にDistortionⅢや'78 distortionを使ったほうが絶対に良いです。
アンプをブーストする形で使うならまあこのゲイン量でも十分かなという感じです。
そういうわけで、低い増幅量と控えめなゲインが特徴ですのでブースターとして使うにしてもコツが必要です。
まず基本的にレベルはMAX固定。自宅練習なんかで音量が出せない場合のみ絞るようにするのが良いでしょう。
一方でゲインですが、普通のオーバードライブなどであればブースターとして使う場合はゲインは下げ目にするのが基本です。
しかしdistortion+はゲインもMAXにしてやるのが良いんです。これが最高。
つまりdistortion+は両方のツマミをMAXにして使うのがコツってことです。
ゲインもレベルも0から上げていって「なんか微妙だな~」とか思う気持ちを抑えて、MAXまで振り切った瞬間、音に魔法がかかります。
それまであったどこか音が詰まったような感じや、潰れて発音されない感じが一気に払拭され、急に音がサステインに満ちるようになります。
distortion+はこの両方MAXの時の音に全振りしすぎて他の設定が使えない(使いにくい)というのが、なかなか残念なポイントかと思います。
しかもその音も現代のエフェクターのクオリティから考えるといささか古臭く使い所が難しいという・・・。
とまあここまでは現行のdistortion+の評価となりますが、ビンテージとなるとまた話は違ってくるんですよね。
ビンテージのdistortion+は時期ごとに音も違いますし、なかなか一口では評価しにくいんですが、現行モデルより音が柔らかめで扱いやすいんです。
現行モデルは嫌いだけどビンテージのdistortion+は好きだっていう人も割りといるので、見かけたら試してみると良いと思いますよ。
以上、MXRのdistortion+でした。
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