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2017年12月30日土曜日

【ギター】DEAN Razorback

見た目★★★★★
弾きやすさ★★★★☆
コストパフォーマンス★☆☆☆☆
オススメ度★★★★☆

メタル界隈では絶大な人気を誇る変形ギターですが、最も攻撃的なシェイプといえばこのDEANのRazorbackだといえるでしょう。
もともとはDEANのMLというフライングVとエクスプローラーを組み合わせたようなシェイプのギターを基本とし、PANTERAの故ダイムバッグ・ダレルによってデザインされたものです。
私自身も2009年~2016年まで第一線で使用していましたので、そこで感じた点も交えてご紹介します。

まず基本的なスペックとしてはボディ、ネックともにマホガニーが採用され、セットネックでジョイントされています。
指板材はモデルにより違いますが、エボニーとローズウッドが採用されることが多いです。
ピックアップはリアにSeymour DuncanのSH-13 Dimebucker、フロントにDEANオリジナルモデルが採用される事が多いです。
基本的にはフロイドローズですが、廉価モデルなどは裏通しのチューンOマチックブリッジを採用しています。
コントロールは3wayPUセレクターに2Vol, 1Toneという王道仕様。
インレイはバルタンヘッドに合わせたV字のものに、12フレットにはダイムがよくネックレスにしていたカミソリ(Razor)のインレイが刻まれています。

音はまさにオールマホガニーらしく、見た目とは裏腹に豊かなミドルとどっしりとしたローが特徴的です。
PUのSH-13のサウンドがかなりドンシャリなのは、おそらくこうしたギターの音に合わせてチューニングされているためだと感じます。
セットネック+フロイドローズのためサステインはかなりあります。
ダイムが得意としていたスクウィール奏法では他のギターを圧倒するほどのロングサステインが味わえるでしょう。

リアを選べばソリッドながら十分なミドルで音抜けのいい攻撃的なサウンド、フロントを選べば歌い上げるようなメロウなサウンドが味わえる振り幅の広さも魅力です。
ボディが大きいためフロイドローズながらギターの鳴りがサウンドによく反映され、良くも悪くもギブソンライクなニュアンスがあります。
すなわち見た目こそメタル専用というようなギターですが、意外やオールドスクールなロックなんかにもガンガン使っていける懐の深さも持っているのです。

では演奏性はどうでしょうか。
まず抱えて感じるのは、意外にも「すわり」がいいこと。
バルタンヘッドによるヘッドの重さと、大きなボディの重さが見事にバランスが取れており、ヘッド落ちや前倒しになる感覚はありません。
また座った時の構え方も2通り選択できるのはRazorbackやMLのシェイプならではです。
普通のギターのように横に構えるのはもちろんですし、フライングVのように股に挟むようにして構えることもできます。しかも1弦側のホーンがあるのでより安定します。

ネックの形状はVシェイプが採用されています。ビンテージのFenderなどでも見られるシェイプですが、DEANのそれはもっと鋭くされています。
Vシェイプのメリットは握り込んだ時に手のひらに接触する面積が小さくなるためポジション移動が容易になることと、V字の頂点に親指を立てたクラシックフォームの時に厚みがあるためビブラートなどのニュアンスが出しやすいことだと考えています。
これに慣れると他のシェイプのネックが異様に太く感じられるほど弾きやすいのです。
それでいてIbanezの極薄シェイプほど全く他のギターが弾けなくなるわけではないので、他のギターと持ち替えたりする場合にもある程度は対応できるでしょう。

フロイドローズはザグリが入れられているため、かなりのアームアップが可能です。
フラットトップ+セットネックのため、弦高を低めに設定していても意外にビビらないのも好印象です。
ボディ形状から見て取れるとおり、ハイフレットでの演奏性も良いためテクニカル系ギタリストにもおすすめできます。
ただ高く構えて様になるギターではないため、立って低く構えた状態でもしっかり弾けるよう練習が必要になってくるのは念頭に置いておかなければなりません。

では欠点について触れていきましょう。
まずもってデカイです。見た目通り。本当に。
普通のギタースタンドでは立てられませんので、HERCULESの吊り下げタイプを使う必要があります。
そしてデカさに伴って重いです。フロイドローズを載せたモデルはもっと重いです。
これらのため可搬性はかなり低いといえるでしょう。背負っても下手をすれば部屋の出入り口にヘッドをぶつけかねません。
セットネックの角度付きヘッドですから、最悪の場合それでヘッド折れする可能性すらあります。

そして高いです。
廉価版のボルトオンタイプなら5万程度で買えますが、セットネックタイプになるといきなり15万円以上になります。
しかもそれで韓国製なのです。USA製ではないんですよ。
USA製は無塗装モデルなら27万円くらいで、普通の塗装されているモデルは30~50万円くらいします。
公式サイトの価格を見ると20~30万円で買えるようですから、まあ代理店であるク□サワ楽器さんのアレですね。
というわけでコストパフォーマンスという点で見ると、お世辞にも褒められたものではありません。
とはいえ韓国製でも十分使える品質ですので、無理してUSA製を買う必要もありませんが。

そんなわけで「デカイ、重い、高い」とギターとしてはなかなかネックになる欠点三銃士を持つギターですが、それでもRazorbackを選ぶ理由は一つでしょう。

「見た目がかっこいい」

もうこれ。これだけでRazorbackを選ぶべき。
使うだけでライブで目立てるし、音も普通に良いし、韓国製でも作りが悪いわけでもない。
前述の欠点なんて見た目のかっこよさだけで吹っ飛ばせる魅力がありますよこれは。
メタラー諸君、今すぐRazorbackを買え!


以上、DEANのRazorbackでした。
これで2017年の記事は最後になります。皆様、良いお年を。

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