ディレイ音のクリアさ★★☆☆☆
コストパフォーマンス★★★☆☆
オススメ度★★★★★
ラックシステムに組み込んでも使える高品質・高音質なエフェクターをラインナップしているStrymon。
その中でも一際プロからの評価も高く人気なEl Capistanを紹介します。
こちらはディレイにカテゴライズされますが、音はテープエコーを目指したものになります。
ディレイとテープエコーは何が違うのかというと、なかなか説明しにくい部分ではあります。
ここではざっくりと「ディレイよりもリピート音が劣化していき、ディレイタイムも短い」と考えてしまってOKです。
デジタルディレイよりアナログディレイ、アナログディレイよりテープエコーってな感じにリピート音は劣化していくようなもんです。
テープエコーというのは一般的にディレイよりも音に温かみがある等と言われています。
言ってしまえばリピート音の劣化により高域や低域が削がれ、音が丸くなってるだけの話です。
が、それがまた実に音楽的で、実音の邪魔にならないというのがテープエコーが評価されている根本にあります。
しかしながらテープエコーは文字通りテープを使うためライブ性が悪く、また故障したりするともう悲惨だということで、だんだんとディレイに取って代わられていきました。
それでもエフェクト技術の進化により、様々なメーカーがテープエコーの音を再現したディレイペダルをリリースしてきました。
そしてこのEl Capistanはテープエコーの音”のみ”に焦点を当ててリリースされ、瞬く間にプロの足元に鎮座する定番ペダルとなったのです。
そのサウンドは実に太く、音楽的で、存在感があり、それでいながらも実音の邪魔をしないという、ディレイフリークを唸らせるものです。
基本的なサウンドとしてはデジタルペダルらしく雑味が少なく、かなり素直なディレイ音です。
しかしTAPE AGEとWOW&FLUTTERコントロールにより、ディレイ音にうねりや燻り、ノイズといったテープエコーらしい効果を加えていくことができます。
それぞれを全開にした時のサウンドは擦り切れそうな伸び切ったテープを再生したような、使いみちがわからないくらいの音になります。
ディレイタイムは最近のデジタルディレイに比べると短めですが、アナログディレイよりは長めに取られていますので十分実用的です。
またMixを3時以上に上げると実音よりディレイ音の方が大きくなるというのもトリッキーで、積極的にディレイを組み込んだフレーズを弾きたくなってきます。
リピートは2時くらいから発振し始めますので、かなり多いと言えます。この発振したサウンドも、一般的なディレイとは全く違うまさに轟音ノイズと言わんばかりのもので、ファズと合わせれば簡単に音の壁が作り出せます。
TAPスイッチを踏み続けることで発振するのも非常にライブでの使い勝手がいい仕様と言えます。
筐体上部のトグルスイッチによりリピートの仕方やディレイタイムを変えることができます。
説明書にはテープヘッドがどうのこうのと書いてありますが、実際音を聞きながら組み合わせを選んでいくのが一番わかりやすいです。
またテープエコーなのでルーパー的な使い方もできます。ループタイムは短い上にループ音もテープエコーらしく劣化していきますが、それがまた良かったりするものです。
Strymonのエフェクターには隠しパラメータというものが存在しており、このEl Capistanにも搭載されています。
BypassとTAPを同時に押したまま各種コントロールを操作することで、隠しパラメータにアクセスすることができます。
Mixは±3dBのアウトプットレベルコントローラーになります。ソロでディレイをかけながら音量を上げたり、クリーンで音を小さくしたりなど、これによってかなり使い勝手が上がっています。
Timeはスプリングリバーブのコントローラーになります。El Capistanはテープエコーながらスプリングリバーブもかけられるのです。このサウンドもStrymonクオリティとなっており、非常に高品質で積極的にかけて行きたくなります。
Repeatはテープバイアス、Tape Ageはローエンドコンツァー、WOW&FLUTTERはテープクリンクルです。これらはテープエコーに詳しくないとなかなかどういった効果が得られるのかわかりにくいです。正直私も使っていてよくわかりませんでした。
また電源投入時にBypassスイッチを押したままにしておくことで、エフェクトをオフにした時にディレイ音を残すか消すかというのも切り替えられます。
他にもエクスプレッションペダルを接続できたり、StrymonのFavoriteスイッチに対応できたり、ステレオアウトプットが可能など、至れり尽くせりのペダルとなっています。
電源は9Vで500mA消費ですので、かなりの大容量が必要と言えます。供給量が足りないと動作しなかったり、音が非常に小さくなったりします。
またデジタルペダルですので、アナログペダルと電源を一緒にするとノイズが混入します。具体的にはTAPのLEDの明滅に合わせてプツプツとノイズが乗ります。
ですのでアイソレートされたパワーサプライを用意するか、素直に別のアダプターを使うなどしましょう。
せっかく素晴らしいサウンドを持つペダルですので、電源にも気を使いたいものです。
やや高額ではありますが、テープエコーだけでなくディレイペダル全般を通して見ても間違いなくトップクラスのサウンドですので、良質なディレイをお探しの方はぜひ一度試してみることをオススメします。
またテープエコーだとディレイ音が劣化しすぎだという方には同じくStrymonからBrigadierやDIGなんかも出ていますので、そちらもチェックしてみてください。
以上、StrymonのEl Capistanでした。
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