音作りの幅★★★☆☆
コストパフォーマンス★★★☆☆
オススメ度★★☆☆☆
BOSSには多数のエフェクターがラインナップされており、また同時に多数のディスコン(廃番)となったエフェクターも存在します。
今回はそのディスコンとなったエフェクターの中でもかなり新しいペダル、DA-2をご紹介します。
このDA-2は2013年に企画されたBOSSコンパクトエフェクター3台同時発売の中でリリースされたペダルです。
同時にリリースされたのはTE-2 Tera EchoとMO-2 Multi Overtone。これら2台は今も販売されています。
この3台に共通するのは全てMDP技術を搭載した新世代のBOSSコンパクトエフェクターだということです。
すなわちMDP技術のお披露目的な看板を引っさげて登場した、BOSSの意欲作だったわけです。
MDP技術については先日のCP-1Xの記事を参照してください。
このDA-2においてMDP技術は以下のようなコンセプトを目指して採用されました。
・ピッキングニュアンスに応じ、アンプのように変化するダイナミクス
・ゲインを上げても失われない分離感
・バッキングもリードもストレスなく弾けるゲイン感
果たしてDA-2はこれまでのBOSSの歪みとは一線を画すサウンドを持っていました。
まさにコンセプトに沿ったサウンドで、ディストーションながら十分にピッキングニュアンスに応答するダイナミクスを有し、またコード感や分離感も保たれていたのです。
さらにバッキング時に合わせた設定でも流麗にリードが弾けるため、あたかもリードの時だけゲインが上がったかのような感覚になります。
特筆すべきはその歪みの質感です。
デジタルという括りには入りますが、サウンドはとてもナチュラルで、良くも悪くもこれまでのBOSSらしくない中低域の充実感とシルキーな倍音感が印象的なペダルです。
ディストーションの親玉たるDS-1らしい粒の荒々しい歪みをベースに現代的な要素をミックスさせた、BOSS流のモダン・クラシックディストーションといったところでしょうか。
初めて試奏した時に、そのあまりにも自然な出音と、自然すぎて逆に新しい感覚を抱いて「デジタルもここまで来たか!」と思ったことを覚えています。そしてそのまま購入してしまったことも。
なんかもうMDPに関してはデジタルだとかアナログだとかを超越した感覚があるんですよ。
アナログの再現にこだわってきたデジタルですが、MDPは完全に「デジタルだからできること」をやってきてるんですよね。
それこそまさに前述のバッキングとリードを一つの設定で両立させちゃうトーンだとか、弾き方に応じたゲインやコンプ感の可変だとかはデジタルならではの技術ですよね。
それでいてこれまでデジタルにあった奥まった感じとか、膜一枚かかった感じが無いから素晴らしいんです。
BOSSの歪みにはレンジが狭まるという特徴があるのですが、このDA-2はレンジが狭くなっているものの弾いていて心地よい狭さというか、窮屈な印象が無いんですね。
よくレンジが広いことを謳っているブティック系ペダルなんかは逆に広すぎて弾くのが難しいことも多々あります。やたらオープンでコンプレッションが薄かったり、上から下まで出過ぎたり。
そこのところがDA-2は非常に上手く調整されていて、適度な弾きやすさと耳触りの良さ、程よい開放感が共存しているんです。
デジタルペダルらしくノイズもゲイン量に比べると少ないのも良い点でした。
他のアナログペダルとの相性も良好で、前段にブースターを入れたり後段にモジュレーションや空間系を入れたりしても、普通のアナログペダルと何ら変わらない感覚で使うことができました。
ではなぜディスコンになったのか。
それはひとえに、後にリリースされたDS-1Xの存在があったからと考えられます。
先述の通り、このDA-2のサウンドキャラクターはDS-1をベースにした荒々しい歪みです。
すなわち新世代のDS-1というようなお題目を背負っていたわけですが、本当のDS-1の後継機として同じくMDP技術を搭載したDS-1Xのリリースとなりました。
そうなればDA-2とDS-1Xはキャラが被ります。なんならコントロールも2バンドEQで被っていますし、筐体カラーもオレンジで被っています。
そしてBOSSはDS-1Xの方を選んだというわけです。恐らく同時に発表されたOD-1Xという存在があったことも、DA-2よりDS-1Xが選ばれた理由であることでしょう。
音もDA-2とDS-1Xを比べると、なるほどかなりそっくりです。
強いて言うならDA-2の方がややジャリッとした硬質なエフェクターライクな歪みで、DS-1Xの方がより滑らかでスイートなアンプライクな歪みと言えるでしょうか。
決してDS-1Xの下位互換というわけではありませんが、両方を比較するとなかなかDA-2を選ぶ人は少なそうです。
ルックスについてもDS-1Xの方が鏡面パネルに銀ネジでかっこいいですし・・・。
そんなわけで鳴り物入りで発表されたMDP技術搭載のDA-2でしたが、わずか1年ちょっとで廃番となってしまいました。
これは数あるディスコンとなったBOSSコンパクトエフェクター内でもかなりの短命と言えます。(歴代2位)
残念ながらDS-1Xの発表が早すぎたのと、あまりにもスタンダードなディストーションすぎたのが運の尽きだったと言えるペダルです。実際同時に出たTE-2とMO-2は他に代替するエフェクターが存在していないからこそ今もラインナップされているのでしょうし。
しかも最近のペダルである上にDS-1Xの存在があるせいでプレミアも付かないという悲しさ(最近のペダルながらディスコンになったことで地味にプレミアがついたFB-2なんてのもありますが)。
PW-2やDN-2、XT-2などディスコンになってもプレミアがつかないBOSSペダルの仲間入りになってしまうのでしょう。
ただまあDS-1Xは現状中古でも1万円を割ることはほとんど無い一方で、このDA-2は普通に中古ならかなりお安く手に入れることができます。
ですので安くスタンダードなディストーションが欲しい人で、DS-1はちょっと苦手ってな人には普通にオススメです。サウンドが悪くて不人気だから価格が安いのではなく、DS-1Xの陰に隠れちゃってるから安いだけなので。
そういうわけで中古で見かけたら一度試奏してみてもいいんじゃないでしょうか?という感じの立ち位置に落ち着いてしまったペダルです。普通に使える良いペダルですよ。
以上、BOSSのDA-2 Adaptive Distortionでした。
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